生まれ変わったら猫になりたい(11月4日)
今日は一日、仕事場に篭って原稿を書いていた。今日みたいな一日が、年間で一番多い。そう考えてると、まったくもって、寂しい仕事を選んでしまったな、とは思う。物を書くとき、歌詞の入った音楽はかけられない。映画もラジオももちろん無理だ。サントラ、もしくは「心静まるJAZZ」みたいなダサい特集のYouTubeを駄々流しにしながら書く。人とおしゃべりをするわけにもいかない。なんなら人の気配もダメだ。よって、ひとり、無音もしくは「心静まるJAZZ」がかかる部屋で十三時間くらい黙々仕事をする。ほぼ書けない時間なので、ジーッとしていることが多いが……。今日は一日、篭ってジーッとしていた。ときどき、「あっ、いいかも」とか思い出したようになにかをカタカタ打ち込んだりした(良くなかったので、五時間後くらいに全部消した)。
トークイベント後に、プレゼントを持って来てくれる方がいる(本当にお気遣いありがとうございます)。プレゼントで多いのは入浴剤、湿布、栄養ドリンク。おじいさんセット。当たってる。万年肩こりで、目はかすみ、ヘルニアもある。五十を越えて驚いたのは体力の低下だ。坂や階段をあがったり降りたりすると、死ぬんじゃないかと思うほどゼーゼー言う。昔はハアハアくらいだった。プレゼントでいただいた湿布を親の仇のように首、肩、背中に張り倒し、スースーさせながら、カタカタととPCに打ち込んでいた。ゼーゼー ハアハア スースー カタカタ としながら、なんとかやっている。
プレゼントでもらった湿布。妙に色っぽいパッケージ、気に入ってます。効き目も緩やかでいい塩梅
昼メシと夜メシは外に出て、なにか買ってくることが多い。定食屋に行くか、コンビニで冷凍うどんとカットフルーツを買ってくるかのほぼ二択。今日はコンビニにした。ちょっと遠くのコンビニまで健康のために歩いていくと、空き地に黒猫がいる。前によく見かけた黒猫だった。勝手に「クロ」と呼んでいた。「おい、クロ!」と小さく呼んでみると、「ん?」て顔をする。クロとの距離は三メートルくらい。うーん、と一度考え、諦めてコンビニに向かった。今日は冷凍うどんをやめ、冷凍ちゃんぽんとカットりんごを購入。そして帰り道、さっきクロがいた空き地の前をまた通りかかる。クロは、近くの美容学校に通う女の子たち五、六人に、キャッキャ言われながら、こねくり回されて、幸せそうに腹を見せていた。女の子のうちのひとりの声が聞こえてきた。「キキちゃん、なんか痩せたんじゃない?」と。別の女の子が「それ思った〜」と返す。腹を存分に見せるクロ、もといキキちゃん。「キキちゃん……」思わず一度、口に出してみた。自販機でホット緑茶を買い、仕事場に戻る。
金持ちになったら、めぐりズムを毎日使いたい。それくらい信頼してる。いまは本当に疲れたときだけ、と決めている