渋谷は冷たい雨(11月1日)
昼過ぎ、TOKYO FMへ向かう。鈴木おさむさんと『THE RAMPAGE』のリーダー・陣さんのラジオ『JUMP UP MELODIES』にゲスト出演。控え室で台本を読んでいたら、作家のカツセマサヒコさんが挨拶に来てくれた。この間の青山ブックセンターのトークイベントが特番としてTOKYO FMで放送されるので、そのオープニング等の収録でたまたま来ていたみたい。立ち話で、お互いいろいろあったけどなんとか生き残ってきたよね、という話を改めてした。彼に重版のお祝いを直接言えてよかった。本が売れない時代に、本を書いて生活をしている仲間は希少だ。鈴木おさむさんと陣さんとは一度、中目黒で飲んでいる。鈴木おさむさんとは同じテレビ業界で同い年なのだが、生きてきた場所があまりに違い過ぎて、どうしても敬語になってしまう。飲んだときに、ざっくばらんにいままでどこでなにをしてきたのかをお互い話し合った。この年までよく生き残ってきたよなあ、という話を鈴木おさむさんともした。よく生きてきた、そんな話を五十代を越えてからよくするようになった。
TOKYO FMがある半蔵門は、テレビ業界にいたときによく原付で配達に来ていた場所。編集室やスタジオが麹町を中心に点在している。半蔵門まで久しぶりに来たので、よく訪れていた編集室の前まで行ってみた。外からチラッと見ただけだが、荷物がたくさん積んであって、ポスターが所狭しと貼られてあった。きっとなにも変わっていない。あの頃、ちょっとだけ仲が良かったADの男のことを思い出した。お互いどこかに行ったら土産を買ってくるくらいの間柄だったのに、正直、名前を思い出せない。顔はおぼろげだが覚えている。彼も五十を超えたはずだ。よくふたりで編集所の非常階段で愚痴をこぼしていた。これからどうなんだろう、なんてよく言っていた。多分ロクなことは起きないな、なんて笑い合った。彼もあの頃より生きやすくなっただろうか。そうだったら嬉しい。
渋谷の外れの居酒屋で夕飯を食べていたら(ホッケ定食850円)、テレビから「渋谷は雨の中、ハロウィンの人たちがたくさん集まっています」というニュースが流れていた。ただ、今日の雨はかなり冷たく、〝たくさん〟というには無理がある気がするがどうだったのだろう。渋谷にいながら、真逆のような場所にいるので、スクランブル交差点あたりの事情にまったくもって疎い。