「信じることを避けてたら」底なしの出会い#07
あんなに怖かったトークイベントをここ最近何度か開催している。怖かった理由は、自分の集客の悪さで、一番少ないときで六人ということがあったからだ。
そのトークイベントの前日の夜、僕は悪夢を見たのを憶えている。トークイベントの会場に行くと、お客さんが0人で、誰も座っていない椅子だけが整然と並んでいる。僕はその場に立ち尽くしてしまう、からの「うああああ」と大絶叫(でも夢の中なので声が上手く出ない)、という夢。
そんな寝汗をかくような夢を見たあとに、当日、会場に向かうと、お客さんは六人だった。ほぼ正夢だった。そんなことが過去にあった。そのことがショックで、コロナ禍も相まって、トークイベントから遠ざかっていた。
でも、ただでさえ出版不況。正直、自分の初版部数も落ちてきている。ちょっと(ちょっとじゃないが)集客が悪いくらいで、一冊でも六冊でも売れるチャンスを逃しているわけにはいかない。怖がってなどいられない現実に晒されている。
「六人以上来てくれたら御の字」そう腹を括って、トークイベントを再開することにした。と言っても、トークイベントは書店、イベント会社からオファーがないと開けない。するとタイミング良く、渋谷のセンター街入り口にある大盛堂書店(お世話になっております!)からオファーを頂き、無事開催することが出来た。
お客さんは六人ではなく、ありがたいことに百人以上の応募があって、抽選になるという信じられない事態。それも多くが女性の方。ついにモテ期到来か、と調子に乗ろうとしたら、なんてことはない、多くが『BE:FIRST』のLEOくんのファン(BESTY)の方々だった。中には、石川県からわざわざ来てくれた八十代の女性もいた。
トークイベントのあとのサイン会で、少しだが、来てくれた人、一人ひとりと話をする機会があった。そのときにその八十代の女性は、LEOくんへの愛を滔々と語り、「LEOくんが大好きな燃え殻さんのことも大好きになったんですよ」と教えてくれた。
何事にも夢中になれない僕は、彼女に、誰かをそこまで好きになる秘訣を聞いてみる。
「そんなの簡単よ。『あら、素敵!』それだけよ。『あら、素敵!』と思ったら、その選んだものをトコトン信じてみるの。楽しいわよお〜」と彼女は満面の笑みで言った。