人は腰が痛くないから暴言が吐ける(2月12日)
「今泉監督のドラマ、観てます?」
今日、編集者との打ち合わせで、こちらが資料をまとめているときに、そっと聞かれた。いま打ち合わせ中にする雑談で多いのは、高市さんのこと、エプスタインの事件のこと、今泉監督のドラマ、だ。そしてどの話も、先方がどっちの立場から、なにを言いたいのか若干様子を伺わないとヤバいことになる案件だ。
「ああ、はいはい。で、どうですか?」と質問に質問で返すという面接なら落ちるであろう返答をする。「いや、私、ああいうの好きで!」という場合と、「マジで許せないんですよ、ああいうの」という場合が本当にきれいに半々という感じだ。
人生で一度、脚本を書いたことがある。それは、WOWOWドラマ『杉咲花の撮休』というドラマだった。第二話を今泉監督が撮ることになり、「脚本書かない?」という話になった。
ここだけの話、『脚本入門』みたいな本を買ってきて書いた。本当にここだけの話だ。
そういえば『週刊SPA!』で『すべて忘れてしまうから』を連載するときも、『エッセイ入門』みたいな本を買って、読みながら手探りで書いた。ここだけの話にしてほしい。
小説に関していえばもっと酷くて、『これはただの夏』を書いているときに、『小説入門』みたいな本を買って、勉強しながら書いた。最初は手探りのままだった。ここだけの話だとしても酷すぎる話だ。
そんな(どんな)縁のある今泉監督の作品なので、もちろん最初から観ている。『冬のなんかさ、春のなんかね』。
「あれ観てます?」という話にほぼ必ずなるくらいの作品を作れているだけで、素晴らしいと思う。ほとんどの場合、誰の目にも触れず、誰の心にも残らない。感想なんてほとんど誰も言ってくれない。あーだこーだ、とみんながなにか言いたくなるなんて、作品としてはもう最上級だ。
ヘルニアになった。整骨院で温熱治療をしてもらった。座れないくらいに痛い。寝るとこれまた痛い。立って歩いているときが一番ラクだ。
腰が痛くない、というだけで人はかなり幸せなんだと思う。