東京発の銀河鉄道(10月13日)
ここ数日、移動中、U-NEXTで配信されている、アニメ『銀河鉄道の夜』を途切れ途切れ観ていた。細野晴臣の音楽も素晴らしいが、この作品のアニメーションが本当に大好きだ。もちろん、『銀河鉄道の夜』自体も。
観ていると、本当に黄泉の国に自分も足を踏み入れたかのような気持ちになってくる。できれば映画館で観たい。没入したい。「部屋を真っ暗にして観る」というのを近々やってみたい。

定期的に観る映画は、『トニー滝谷』と、このアニメ『銀河鉄道の夜』だけな気がする。
コロナが日本を席巻する、少し前のこと。ふと、岩手の宮沢賢治記念館へ行ったことがあった。そのときも、ほとほと疲れていた気がする。
係の人が、「お客さん、ツイてますよ。いま、みんなコロナって言ってるでしょ? ここも明日から一、二週間、閉じることが決まってるんですよ」と教えてくれた。すぐにまた再開しますよ、と言っていたが、結局、休館は二カ月以上になった。
全員がマスクをする生活になる直前の話だ。その頃はもう、週刊誌で連載をはじめていて、Netflixでの映像化の話も進んでいた。
岩手の市街地を散策して、山猫軒に寄って、昼にはじゃじゃ麺を食べた。食べ方がよくわからず、隣の席に座っていた若い男性が、手取り足取り教えてくれたことを憶えている。
そのあと、近くの喫茶店で、夜まで原稿を書いたと思う。
「いまどこですか?」「代々木上原です」岩手の喫茶店で、そう編集者に返信を送った。そのやり取りを、当時の週刊誌にそのまま書いた。単行本には、たぶん収録されていない。一貫して、いい加減に生きてきてしまった。
宮沢賢治記念館には、鉱物の標本が飾ってあった。アニメの中にも、水晶の川や、120万年前のクルミ、などが出てくる。宮沢賢治のことについて考察した単行本が、そのときから今日まで積読になっている。そろそろ読むタイミングかもしれない。
小説『ボクたちはみんな大人になれなかった』の中に、宮沢賢治のことを少しだけ書いた。章のタイトルは、「東京発の銀河鉄道」。
ヒロインのかおりは、東京で忙殺されている主人公に言う。
「宮沢賢治はずっと東北の田舎町で人生の大半を過ごしたのに、銀河まで旅したんだよ」と。
テレビの仕事に忙殺されて、「どこにも行けない!」とウダウダ言っていた自分に、そのとき付き合っていた彼女が言ってくれた言葉をそのまま使った。