相談の森 04
相談 1(ナツリンゴ さん)
何かをするときに、人と比べてしまいがちです。
45歳になり、中間管理職もさせてもらっていますが、あの人だったらもっと上手くやれるんだろうなと考えると悲しくなります。
これは仕事だけじゃなくてプライベートでも同じです。山にこもって一人で生きていきたい気持ちになります。一人では生きていけないことも分かっていますし、誰かと関わっていたい気持ちもちゃんとあります。
こんなに生きてきてるのに、こんな気持ちで生きてる自分が嫌になります。
燃え殻さん、どう思われますか?
僕も三十代、四十代初め、中間管理職をしていました。小さな組織でしたが、それでも「中間」とあるだけに、上にも下にも、もちろんお客さんにも気を払いながらの日々でした。正直、二度、ストレスで体調を崩して、休職しています。三度だったかもしれません。うまくいかなかった自分に答える権利などないのですが、いまならちょっとわかる、ということがあります。
あの人だったらもっと上手くやれるんだろうな、と考える必要はない、ということです。ナツリンゴさんを中間管理職に指名した上司がいると思うのですが、「私よりも、あの人だったら」は期待してくれた上司の信頼を裏切ることになると思います。
あの上司が、私に託したんだから、私なりにとことんやってみよう、と何度も自分を説得するしかありません。遅まきながら僕もそれに気づき、日々自分を説得中です。
なにかチャンスをもらっても、「自分なんかより、あの作家さんだったらもっとうまくやるだろうな」「あの人みたいに上手くやれたらなあ」と思いがちでした。口に出したりもしていました。でもそれは、期待してくれた編集者の方や、なにより信頼してくれている読者の方々に対して、大失礼だと気づいたからです。
ラジオのディレクターさんに、僕が自分の書いたものを番組内で紹介したとき、「前に書いてしまった小説の中に……」とか「書いてしまったエッセイ本を」と発言したことが何度かあり(いまもたまにクセでやってしまうことあります)、注意されたことがありました。
「あなたの文章を大切に思っている読者に、その言い方は失礼だからやめましょう」と。
とても刺さりました。無限に選択肢はありますし、自分より優れている人も無限にいます。自分なんか、と常に思いがちです。でも、このポジションを託してくれた人はあの人で、託されたのは私なんだ、を忘れないようにすることが、最初の仕事なんだと思います。何度も何度も自分をなだめ、説得しながら、手懐けてみてください。
人のことは言えないくらい、自分も日々手懐けている最中です。日記を読めばわかる通り、欠落を抱えながら生きてます。一緒に日々手懐けながらやっていきましょう。少しずつ好転していくことを祈っています。
Illustrator 久保田寛子