日記が書けない(11月14日)
日記はどこまで本当のことを書くものなのだろう。作家の日記本がいくつか本棚にある。とんでもなく本当のことを書いているだろう作家の日記を一つ紹介する。
「七時起床。ブランで朝食。日中は原稿をやる。夕方打ち合わせを二件。一件は富山の件。夜は知り合いのNとランプで待ち合わせ。」
これは、とある作家の一日の日記(店名は変えてます)で、単行本にもなっている。こんな感じのことが十三ヶ月(中途半端)書かれていて、1800円で売られている。書かれていることは本当だろうが、それでいいのか?とも思う。メモやないか!とも思う。また別の作家の日記本だと、一日の扱いもまったく違う。
「いつか忘れられるよね。but your tears will dry」
これはこれで心配になる。こんなことならメモでよかったともなる。
日記をどのくらいの温度で、どのくらい正直に書くものなのかまだわからない。なので、ただただ本当のことを、この間くらいのテンションで書くことにする。それも今日は短めに書くことにする。理由はいま、吐きそうだからだ。
今日はベッドにまでたどり着けず、床で寝ていた。さっき起きた。二日酔いだ。日記を書かなければいけないとノートパソコンを開き、カタカタ打ち込んでいると、エンターキーの調子がまた悪い。つらい。写真家の草野庸子さんと、TBSのディレクターで舞台『湯布院奇行』のプロデューサーの佐井くんと昨夜飲んだ。胃潰瘍なので、まったく飲んではいけないのにガッチリ飲んでしまった。草野さんは小説『これはただの夏』の装幀写真、『断片的回顧録』の写真を担当してもらった大恩人。会うのは二年ぶりくらいだった。ほぼ禁酒しているので、久々に飲んだら完全に回ってしまった。ふらふらのヨレヨレで渋谷のラブホ街を抜けて仕事場まで帰ろうとしたら、「あの、『すべて忘れてしまうから』読んでます。それもいま!」とラブホに入る前のカップルの男のほうに声をかけられた。男はカバンから文庫を取り出し、「ほら!」と見せてくれた。それに対して、「水、お願いします」と返してしまった。吐きそうだったのだ。「あ、はい……」とラブホに入る直前だったであろうカップルに、ミネラルウォーターを買ってきてもらった。そこから仕事場に帰って、ベッドにたどりつけず、床で寝てしまったと思うのだが、記憶がまったくない。まったくなくて日記が書けない。いつか忘れられるよね。but your tears will dry.
梅津恭子さんから白くまのぬいぐるをプレゼントしていただいた。