「ぼっちゃんもいい年なんだから」底なしの出会い#03

三十代半ば、清掃バイトを始めた。そこでの僕のあだ名は「ぼっちゃん」
燃え殻 2025.12.04
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夏の終わりくらいになると、清水さんからLINEが来る。「そろそろ秋ね、焼き肉会しましょう」と。

清水さんとは昔、バイト仲間だった。と言っても、かなり説明が必要なバイト仲間だった。僕がテレビの美術制作会社で、新規事業部を立ち上げた時期なので、十五年以上前のことになる。ツテもなく、営業の経験もないのに、僕は新規事業部を立ち上げてしまう。どーにか日常を変えたい、でもどーしていいかわからない、という時期だった。それがずっとつづいている気もするが、特にそれが顕著な時期だった。

社長はとても寛容で、「全部やってみればいい」「成功するまでやればいい」という人だった。いま振り返っても、あのときの僕に、好きなようにやってみろ、と両手放しでチャンスをくれたことには、感謝しても感謝しきれない。

そして僕は本当に好きなようにやってしまう。某汐留にある大手広告代理店の清掃バイトの仕事に就く。好きなようにやってみればいい、で「清掃バイトに就く」という答えには、さすがの社長も一瞬怯んだが、「まあ、やってみればいいよ……」とトーンを落としながらも認めてくれた。

さらに僕は、汐留のコンビニバイトも始めてしまった。どーかしていた時期の自分の謎の行動力が、いま振り返ると本当に怖い。が、一応自分の中では、道理は通っていた(限りなく陰謀論に近い道理だが……)。

清掃員としてオフィスで日々すれ違い、コンビニに行けば、レジに僕がいる、ということを繰り返していれば、サブリミナル効果のように僕の顔が知らず知らずに刷り込まれていき、営業をしたときに「なんか他人の気がしない。彼と仕事してもいいかも」と思うはずだ、と考えていた。

それを半年やった結果、「仕事が取れた」というミラクルが起きるのだが、その話は別の機会にするとして、そのときの清掃バイトの同僚が清水さんだった。

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