電気、止まりかける(10月28日)
やっと単行本が発売された。
そして我ながら気持ち悪いことに、自分でも『ほかの人には言わないで』を読み返している。
父からメールが届いた。「横浜の有隣堂に行ったが、サイン本はなかった。SWITCHを買ったよ」と。ありがたい。
本の発売日には、父と母は必ず、渋谷の大盛堂書店か、横浜の有隣堂に足を運んでくれた。母に本を持たせ、父がスマートフォンで写真を撮って、いつも送ってくれていた。
今回のエッセイ集の最後の原稿は、葬儀場に向かう一時間前に書いた。一冊になって、母がどこかで読んでくれていたらうれしい。父にそんな内容のメールを返した。
今日はこれから、大盛堂書店でサイン会をさせてもらう。

サイン会では、田中渓さんによる書評が掲載された『波』と、こちらの名刺を、ご参加の皆さまにお配りする予定です。
近くのスーパーが、クリスマスケーキの予約と、おせちの予約を開始していた。これはもう、本格的に一年が閉じようとしている。
今日の打ち合わせでついに、「では、初校の締め切りを、一月半ばくらいに設定しましょう」という文言が出た。これはもう、本格的に一年が閉じようとしている。
みっともないことを書く。電気代と水道代は、毎月コンビニで払っている。「口座振替にしろよ!」と言われたら、反論の余地はない。手続きの仕方が、わからないまま、今日まで来てしまった。
そんな自分のもとに、「電気を止めます!」というハガキが届いた。八月分が未払いだという。だから口座振替にしろよ! という話なのだが、八月分、払ったつもりでいた。現に九月分も十月分も払っている。ただ、八月分の払込票が見当たらなかった。九月分もない。十月分はあった。
「なにを書いているんだ!」と我ながらツッコミたいが、昨日から今日にかけて、一番ドキドキした出来事がこれだったので仕方がない。
急いでお客様センターに電話をかけてみた。しかし、朝からずっと混み合っていて、まったくつながらない。先ほど、ようやくつながった。住所や登録番号を伝え、一度調べてもらう。
すると、「あれ? お支払い済みですね。八、九月分ともに。十月分もお支払い済みです。こちらの手違いだったのかもしれません。申し訳ありませんが、ハガキのほうは破棄してください」とのこと。そんなことがあるのか。こわい。生まれ変わりたくない。
「そうでしたか、承知しました」と、妙に聞き分けのいい返事をして電話を切った。