「外が寒い」とわかるということ

味噌ラーメンがいいと一度思ったが、天ぷらうどんという選択も捨てがたい。
燃え殻 2026.01.31
サポートメンバー限定

母の病状が急変して、緊急入院になった。今日は一日病院にいた。

母は、酸素マスクを付けているが、それでも苦しそうにするときがある。父と妹は、緩和ケアの手続きをしに席を外し、病室には僕と母だけになった。

全身にがんが転移し、肺炎を患っている。静かに眠っているように見えた母が、虚ろな目で僕を見ていた。

「あなた、帰りなさい」とゆっくりと僕に言う。わかった、わかった、と僕は答える。「仕事をしなさい」つづけてそう言った。じゃあ、ここでします、と僕はノートパソコンを母のベッドサイドで広げ、本当は昨日締め切りのはずだった原稿に手をつけ始める。

しばらく、カタカタカタ……と本当に作業を進める。そのうち母はまた目を閉じ、寝息が聞こえてきた。次に母が目を覚ましたとき、僕は原稿をひとつ仕上げていた。

「いい仕事ね、どこでも出来て」ゆっくりした口調で母が言った。

この記事はサポートメンバー限定です

続きは、911文字あります。

下記からメールアドレスを入力し、サポートメンバー登録することで読むことができます

登録する

すでに登録された方はこちら