フェイスマッサージは別途料金(1月31日)

父と妹に、30日の日記を読んでもらった。
燃え殻 2026.01.31
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妹に、昨日のレターの日記(1月30日)を送った。ごめん、こういう仕事だから書くから、とメールを送った。しばらくして、「書いてくれてありがとう。お母さん読んでるよね」と返信が届いた。心からホッとした。そのメールには、「お父さんにも読んでもらったから」とあった。緊張が走る。

***

今日、通夜、告別式の打ち合わせに昼過ぎから参加。

一つひとつ説明をする葬儀屋が、かなりヘラヘラしていて、内心イライラしてしまう。「こちらはお値引きできます」「こちらは会員さまなので10%引きになります」「祭壇、こちらですとプラス25万円です」「こちら、金のフチが付くとプラス5千円。それが四つですので……」と、ただでさえ疲れて眠れていない父が、フガフガなっていくのがわかる。妹が、書類に父の名前を代わりに書いたり、写真を選んだり、あらゆるデザインを選んだり、その合間においおい泣いたり、忙しくしていた。「ここの挨拶やって」と妹に献杯の挨拶を頼まれ、えーっ! と大声をあげてしまった。「やってよ! わかった?」と冷たく念押しされた。母に、妹は誰よりしっかりしてます、と告げたくなった。

***

葬儀屋から「フェイスマッサージというものがありまして……。別途料金がかかってしまうんですが……」と。「フェイスマッサージ?」と家族一同、仲良くハモった。

「はい、お母さまのお顔をマッサージすることによって、より穏やかに、より美しい表情になるかと思います、はい」ヘラヘラとそう言う葬儀屋に、妹がいかにも呆れたような言い方で「亡くなったあとにフェイスマッサージされてもねえ」とブツブツ、「だよなあ……」と自分もつづく。「それはだいぶ変わるんですか?」と父が突然の前のめりで、葬儀屋に聞き出す。葬儀屋は相変わらず、ヘラヘラと「はい、より穏やかに、より美しい表情になるかと……」と繰り返した。「お願いします」と父。「はあっ?」と思い、妹のほうを見た。妹は、そう振り絞るように言った父の肩を、ぽんぽんと叩いていた。

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