下北沢B&Bの夜(11月9日)
引きつづき午前中は仕事場でコツコツと原稿の日。雨が止んだり降ったり。窓の外を眺めながら、カタカタとノートパソコンに打ち込んでいると、エンターキーがうまく反応しなくなる。引っかかったみたいになる。天気とエンターキーの不具合以外は昨日とほぼ同じような一日のすべり出し。
そして下北沢B&Bにて、放送作家のミラッキくんとトークイベント。彼はとにかく記憶力抜群で、あらゆるものをデータ化して覚えている。イベントでこちらが「初めて会ったのは大井町」と話せば、「いや、違います。渋谷です。大井町は三回目。あれは201○年、◯月です!」と正確に返ってくる。会場に来てくださった方々にはまったくどーでもいいことでも、彼の引き出しはそこからしか開かない。不器用で精密。エネルギッシュなのに気にしすぎな男。データをもとにしてるだけに、本当のことしか言わない。言えない。なのに『ボクたちはみんな大人になれなかった』を出版すると最初に決めたとき、不安で押しつぶされそうな夜に、「大丈夫。素晴らしい本ですよこれ。自信持ってください!」とデータはなにもないのに過剰なほど絶賛して安心させてくれた。放送作家ってどうなるの? と訊いたことがあった。「聞いたヤツはなれない商売です。行きがかり上やってる人間しか残りません」と彼は言った。初めて会ってから九年くらい過ぎた(いや、違います!と否定されそう)。九年お互いそれなりに紆余曲折あった。振り返ってみたら、やはり行きがかり上やっている人間しか残っていなかった。彼のデビュー作『90年代J-POP なぜあの名曲は「2位」だったのか』イベントのゲストに呼んでもらえるまで、ものを書く仕事をつづけてこれてよかった。