戌井さんとのトークイベント(11月2日)
大阪の『梅田ラテラル』で、作家の戌井昭人さんとトークイベント。
以前にも大橋裕之さんとイベントをした会場なのに、今回も順調に道に迷った。商店街を右往左往していると、「お兄さん、寄ってかない?」と声をかけられた。伏し目がちになって、反射的に「ああ、大丈夫っす」とかわすと、「俺! 俺!」という声。顔を上げると、戌井さんがニカッと笑ってピースしていた。
戌井さんと一緒に会場まで行ったら、『梅田ラテラル』が入っているビルに列ができていた。
「今日、他にも誰かイベントやるのかな?」と戌井さん。「そうですね。たしかライブハウスもあった気がします(当てずっぽう)」と返した。
結局、その列は、自分たちのトークイベントを観に来てくださった方たちの列だった。「本に、六人しか来なかったトークイベントの話が出てたから、今日マックス六人だと思っていたよ〜」と戌井さんがニヤニヤしながら言った。

戌井さんは、大阪の思い出話をたくさんしてくれた。
トークイベントでは、戌井さんと一緒に小説を書いていることを、初めてお伝えできた。一応、最後まで書き上げてはいる。ただ、諸事情があって、発表の目処はまだ立っていない。
書き方は、往復書簡に少し似ている。まずこちらがまとまった枚数を書いて、戌井さんに送る。それを戌井さんが好きなように書き換え、送り返してくる。さらに今度はこちらが好きなように書き換える。そのやり取りを二、三度して、「こんな感じですかね」と落ち着いたところで、次の章に取りかかる。
物書きになって、こんなふうに誰かとひとつの小説を書けるとは思っていなかった。それが本当にうれしい。そして、その相手が作家の戌井昭人さんであることが、これまたうれしい。

打ち上げで、「人の睡眠薬を勝手に飲んだときの俺」という顔芸を披露してくれた。
あっという間に十一月になってしまった。
信じられないことに、十二月発売予定のマガジンハウスの単行本は、明日か明後日には予約が始まる。まだ新潮社の単行本の宣伝活動がつづいているのだが、これはもう仕方がない。検討と調整を重ねて、ようやく落ち着いたスケジュールなのだ。
カレンダーを眺めても日は増えない。頑張りたい。

以前、『梅田ラテラル』でイベントを開いたとき、ひとりの女性が声をかけてくれた。
「わたし、ガンなんです。また大阪でトークイベントをやってくださいね。絶対来ますから!」そう言って握手をして別れた。その女性が今回も来てくれた。
いまは薬を飲みながら、経過を見ているところだという。「大阪も寒いんで、体調に気をつけてくださいね」と、こちらを気遣ってくれた。「ご自愛ください。また会いましょう」と言って、今回も握手をした。
朝、大阪には冷たい雨が降っていた。