「東京ドーム二個分です」底なしの出会い#17
野球観戦と工事日誌。グローバルな憂鬱
燃え殻
2026.03.12
読者限定

仲の良いライターTと、巨人戦を東京ドームに観に行った。
Tが本当は野球よりサッカーのほうが好きだということを、ドームの席に着くなりこっそり教えてれた。Tのスマートフォンの待ち受け画面も、セリエAのなんとかっていう選手のものだった。
こちらも東京ドームにライブなどでは来ることはあるが、野球を観に来たのは、十年以上ぶりだ。
Tは、四回表くらいにはもう、生ビールを売っている女の子にしか興味がない様子だった。試合も一方的に巨人が勝ちそうな雰囲気。さすがに僕も飽きてきたとき、Tがお気に入りの女の子から、四杯目の生ビールを注文した。注がれたビールをグビグビと旨そうに飲むTは、したり顔で僕に向かって言う。
「一分間に地球からどのくらいの森林が消滅しているか知ってる?」と。東京ドームで巨人戦を観ながらビールを飲んでいる最中に、突然そんなシリアスな環境問題クイズを出されても、人は言葉に窮する。
「答え。東京ドーム二個分です」彼は勝ち誇った顔でそう言った。次の瞬間、満員の東京ドームに大歓声が上がる。レフトポール際付近に弾丸ライナーの打球がそのままスタンドイン。遠く三階席の観客までが、立ち上がって喜んでいる姿が見える。
僕は東京ドームを改めて見渡してみた。それはそれは大きかった。Tはあっという間に四杯目の生ビールを飲み干そうとしている。