芯を食わないマッサージ店での決意 底なしの出会い#26
「イテッ」ゴリラ的迫力はどこへ
燃え殻
2026.05.04
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久しぶりにハズレのマッサージ師に当たった。いつもは指名料五百円を払って、同じ先生に施術してもらっている。その先生がインフルエンザで休みだったことにより、急遽ついた先生が盛大にハズレの人だった。
見た目はゴリラのようにイカツイ感じの男性で、いかにもマッサージ師に向いてそうに見える。これは相当揉みしだいてもらえるにちがいない、と期待を胸に、僕はベッドの上でうつ伏せになった。
「では九十分、始めていきます」落ち着いた声でゴリラが言う。ここまではよかった。だいたい当たりかハズレかは、ファーストタッチでわかる。うつ伏せで寝ている僕の首に、ゴリラがグイッと親指を入れる。
そのときだ。「イテッ……」僕ではなく、ゴリラがそう発した。僕はうつ伏せのまま、聞き間違いかもしれないと思い、一度スルーする。そしてもう一度、グイッと親指が首元に入った。「アッ……」今度は、ゴリラが小さく喘いだ。
「大丈夫ですか?」僕は顔を床に向けたままそう訊く。「ちょっとだけ指やっちゃってて……」ゴリラがボソッとそう言ったので、僕は起き上がり、「えっ……、大丈夫ですか?」ともう一度、ちゃんと確認した。