新宿三丁目『スパゲティー nokishita』(7月10日)
エアポッツをまた紛失してしまった。三回目か四回目か、それすら定かではない。
とあるメディアの社長さんと、二十年以上ぶりに再会した。それも仕事で、だ。
二十年前、こちらはまだフリーターで、向こうはすでに社会人だった。
なにかの飲み会の二次会で、たまたま席が隣になり、ずいぶん話し込んだらしい。エアポッツを何回なくしたかも忘れてしまうような人間なので、そのときのことは微塵も覚えていない。
「俺は、お前は犯罪者になるか、漫画家になるか、どっちかだと思ってたよ」
そんなことを言われた。
えっ、そんなに個性的でした? と聞くと、「だって、ノートに今日あったことを四コマ漫画にして毎日描いてるって言って、見せてくれたじゃん。それも四冊くらいカバンに入っててさ。あれ、本当こわかったなあ〜」と、しみじみ振り返られた。
まったく記憶にない。
……いや、ノートに四コマ漫画を描いていた気はする。結局、いまやっていることと、あまり変わっていない。あの頃も必死だったんだと思う。そのあたりの心境も、もう思い出せない。
その四コマ漫画のノート、どこかにあったら絶対に読み返してみたい。……いや、エアポッツを四回もなくす人間に、そんなものが残っているわけがない。
そんなことを悶々と考えていたら、かなり酔ってしまった。「顔面真っ白だけど、大丈夫?」と言われて、鏡を見たら『ガス人間』くらい顔色が悪かった。

新宿三丁目『スパゲティー nokishita』で、たらことイカのスパゲティーを食べた。知り合いの作家から教えてもらった店。