「後悔は何%?」底なしの出会い#12
「いまの仕事に就いて、後悔は何%ありますか?」ラジオ番組にそんなメッセージが届いた。
久しぶりのトークイベントでも、恐々手をあげてくれた人に、「作家をもし辞めるときがきたら、作家になったことを後悔しますか?」と言われた。
立てつづけだったので、やけに印象に残っている。
質問を受けて、番組の本番中、僕はしばし考えた。うーん、なんて。そのあとで、「いまこの瞬間に辞めたとしても、後悔は0%だと思います」と答えた。トークイベントのときも、「後悔はしないです」と言った。
この仕事は普通に考えたら、怖いしヤバいし不安定だし、という仕事に映るんだと思う。そしてそれは概ね当たっている。でも、やっぱり僕はどんな最終回が来たとしても、「後悔はしない」と答えると気がする。
僕が小学五年のとき、朝礼のあとに、全校生徒で縄跳びをするという、意味不明の時間があった。ひとりの教師が、朝礼台に上がり、「五年生、六年生の中から誰かひとり、朝礼台の上で、模範演技を見せてもらいます! 多少失敗してもいいから!」と挙手を求めた。
もちろん誰も手を挙げない。水を打ったように静まりかえる五、六年生。僕も出来る限り気配を消す。ほとんどの生徒が俯き、校庭の砂を見る勢いで、目を逸らしていた。
「誰もいないのか? じゃあ、指名するぞ」教師が不満げにそう言った。「じゃあ……」教師は値踏みをするかのように僕たちのジロジロと眺めている。
当たるな、当たるな、と念じながら、僕は誰かが生贄になるのを待っていた。
「えっと……」教師の値踏みはつづく。緊迫した空気。誰もが緊張しているのがわかった。誰もが息を押し殺しているのがわかった。
僕は、そのピリピリとした空気が我慢できなかった。その息苦しさから一秒でも早く解放されたくなっていた。そして、自ら手を挙げてしまう。